初めての手術はSMプレイのごとく

僕は色んなことに節操なく手を出しては、痛い目にあっている。勿論、楽しいことや気持ちいいこと、感動的な体験となることだって沢山あるけど、殆どは何かしらの苦痛を伴うことばかりだ。それでも懲りないのは、新たな体験がもたらす苦痛に快楽を覚えているからだろう。

 

一昨日から今朝にかけて、幾つかの"初"体験をした。まあ、9月から一気に悪化した腰椎ヘルニアの手術に関する事なのだが、これが見事に"初"なことばかりだった。

 

まず1つ目「はじめての手術当日早朝二輪車釣行」

手術は入院当日に行う予定なので、当然早朝は自由時間だ。そこで、手術失敗で歩行が困難になり、釣りとバイクを楽しめなくなったときに備えて、手術当日早朝二輪車釣行(早口言葉みたいだ)を行った。手術が初めてならば、その失敗を恐れるのも、当日に釣竿担いでバイクに跨がるなんてのも初めてだ。どうせなら釣りも初めての場所で・・・とも思ったが、ここは一本獲らなきゃってんで、嫌いだけど確実に一本獲れるポイントへ。
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水平線が薄明かりを灯し初めた午前5時、スズキと言えるサイズを一本あげた。

あとは新しい相棒WR250Rで工業地帯を流して「初めての手術当日早朝二輪釣行」を達成。帰宅後、何故安静にしないのかと怒る妻を更に煽ってサブクエスト「はじめての妻マジギレ」もついでに達成。

 

2つ目「はじめてのバルーンカテーテル

入院手続き後は、様々な部門の医療スタッフが入れ替わり立ち替わり説明と同意書をとりにやってくる。小説や映画でしか見たことのなかった光景だったのと、想像以上に皆が親切だったことに感動した。

 さて、手術前には儀式がある。全身麻酔下で行われる手術は術後管理も重要になるため、尿道にバルーンカテーテルという管を挿入し、採尿バッグに尿を溜めて尿量の管理をしなくてはならないのだ。

 

つまり、

 

尿道

管を挿入して

自身の意思とは関係無く

強制的に

排尿させて

管理する

 

うへぇ・・・

 

入院&手術を行う病院には妻と僕、共通の友人が看護師として勤めている。しかも、よりにもよって、彼女は僕の入院する病棟のNo.2の地位に就いている。

朝からマジギレさせた妻の仕返しとして二人は共謀し、僕のバルーンカテーテル挿入を友人が行う事にしたと!   

 

つまり、異性の友人に   

 

尿道

管を挿入されて

自身の意思とは関係無く

強制的に排尿&管理される

 

なんという羞恥プレイ。

 

さっさと出せと、笑っていない笑顔で迫る友人と恥じらう僕を嘲笑う妻。

 

意を決してパンツを脱いで脚を開く僕に「開かなくてもいいんですよ」とニヤリと笑う友人と爆笑する妻。

 

こうなる直前まで「風俗で嬢が出てくるのを待つような気分だぜ」なんて軽口叩いてた自分を全力で殴り倒してやりたい。

 

カテーテルが徐々に深く挿れられるたびに情けない顔で「オンフュヨォオオ」と喘ぐ姿を二人に晒す。晒し続ける。

しかも、痛みと違和感で苦しいはずのムスコが種の保存と生存本能故か半分元気になってしまい、中途半端なのねぇなんて失笑される始末。

「普通の人よりもいっぱいはいったよ」とか笑顔で言われても全然嬉しくない。むしろ嫌がらせである。

 

ともあれ初めてのバルーンカテーテルなのだが、これがまた痛いし苦しいしでもぅ・・・動けば鋭い痛みがモノを駆け巡るし、動かないように息を殺していても体が異物を出そうと反射するのか、蟻の戸渡の辺りから竿にかけてうねるような圧迫感と鈍痛が襲う。尿バッグをぶら下げた入院患者がソロリソロリと静かに、ゆっくりと動く理由を理解した瞬間だ。

バルーンを入れると、体はまな板の上の鯉のように、心はガラスの破片の上を走らざるをえなくなったジョン・マクレーンのような状態になる。でも、粗末なムスコは半分元気なまま。なんだこれ。

 

3つ目「初めての全身麻酔と手術」

酸素マスクをして、麻酔科医に「はい、ゆっくりとすって~はいて~眠くなるからね~」と言われるままにスーハーしたところで記憶が途切れ、目覚めたら手術は既に終了。

現代医療ってすごいね!

 

4つ目「初めてのドレーン」

手術に伴う傷口に管を入れ、余計な体液や血液を排出するドレーンを着けた。
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けっこう出るもんだと感心していたが、これは少ない方だそうだ。良いのか悪いのかは聞かないでおいた。

 

5つ目「初めてのバルーン抜去」

入れたら出す。世の理だ。

バルーンカテーテルもまたしかり。

挿入も地獄だったが、抜くのもまた地獄。かつて体験した麻酔無しの虫歯治療を軽く凌駕する程の苦痛。

不倫や痴漢などの破廉恥な罪を犯した者にバルーンカテーテルの刑を行えるように法改正すれば、それらの再犯が減る可能性は高いだろう。

 

長くなりすぎた。今回の5つの初体験で学んだことは2つ。

 

1手術よりもつらいよバルーンカテーテル

 

2新世界はすぐそこに

 

学んだってよりもただのマゾじゃねーかこれ。

グッバイ相棒よろしく哀愁

ヤマハのセロー250はフレンドリーで良いバイクなのだと思う。

事実、個人サイトやSNSから雑誌に至るまで、セローのインプレッションの殆どは好意的なものばかりだ。流行り廃りに景気の影響を受けながらも、30年もの間、延々と守り、貫徹されたセローの哲学と設計思想は伊達ではない。

  

1.ラフなスロットル操作でも良い具合に粘り、程よい加速をもたらすエンジン。

2.低~中速でよく動き、地面に食いつくサスペンション。

3.軽く、よく切れるハンドル。

4.低重心がもたらす安定性と引き起こしの容易さ。

5.スリムでコンパクトなボディによる取り回しの良さ。

6.二足二輪による難所踏破力。

7.IRCの公道対応トライアルタイヤTR-011ツーリストをそのまま履ける。

 

多くのセロー乗りは、新米営業マンのテンプレートセールストークよろしく上記を口にするが、バイク初心者の僕もこれには全く同感だった。

これらの長所はオンロード走行はもちろん、本来の用途であるトレイル走行において、非常に強力な武器となる。また、ラジエターが無いため、半端な高さの倒木をくぐって通過する際にバイクを寝かして無理やり引きずり出すような事だって朝飯前だ。

IRCの公道対応トライアルタイヤ、ツーリストを装着すると、トレイル走行に関しては怖いもの無しになる。粘るエンジンと、中低速で抜群の追従性を見せるサスペンション、そして容赦なくグリップするタイヤ・・・ツーリストは、草が生い茂る濡れた斜面だろうが、粘土質+濡れた岩盤の斜面だろうが、落ち葉と腐葉土でフカフカな山林だろうが、空気圧を下げ、ギア選択さえ誤らなければ、容赦なく登りきる。当然、砂利や砂地だってグリグリ進む。

 

しかし、そのせいで、ついつい自分のレベルでは入ってはいけない所に入ってしまうことがある。経験も力量も無く、助け合える仲間すらいない状況で、そんなとこに入り込むのは自殺行為だ。滑落のリスク、故障のリスク、人気のない山奥で怪我をして身動きが取れなくなるリスク・・・いつの間にか機材に依存した踏破力にあぐらをかいてしまい、重大なリスクから遠ざかっているように感じてしまうのだ。仕事でも日常生活でも、何の根拠も無い「大丈夫だろう」は致命的なトラブルを引き起こす。

僕はセロー250乗りになってから、何度も山中でやらかした。泣きそうになったこと、後悔したこと、痛かったこと、本当に危ない事も何度もあった。どれもセロー250の性能に依存し続けた僕が招いたことだ。

 

↓こんなテクがあればいいんだけどね。無理だね。

 

日々を浪々と過ごす僕だって、一応人の親だ。冒険ごっこで日常生活に支障が残るような怪我をするわけにはいかないし、死んでしまうような事もあってはならない。

そんなに悩むような事もなく、答えは出た。僕はセロー250を手放す。

 

じゃあな、相棒。

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以上、気持ちわりー自分語りと言い訳終わり。

 

そしてWR250R契約完了。

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これにより、妻はかつて有害図書追放運動を牽引した女性団体の如く僕を責め立て、双方の両親の顔はひきつったままになってしまい、僕の家庭内の立場は最悪だ。

味方だったはずのDC息子にいたっては、自分が貰えるもんだと思っていたセローを売り飛ばされたと、これまた見当違いな怒りを僕に向けている。たかがバイク1台でこの有り様とは、まったく困ったものだ。

 

 

もう少し年をとって、色々とくたびれたら、その時はまたセローを買おう。

 

会えない時間が愛を育てるのさ。