ついてきた
近々家族が増える。それは喜ばしい事だけど、家族が増える度に僕の時間がどんどん無くなっていくのは正直つらい。
おぎゃあと出てくる前に、そして更なる要求を突き付けられる前に、僕は僕が愛する一人の時間を少しでも味わうべくエンジンに火を入れた・・・直後に妻からストップがかかった(´;ω;`)
昨晩までは「いつもありがとう、たまには好きな事やってきてよ」なんて言っていたのに、気晴らしにどっかつれてけと・・・結局体が空いたのは午後2時。今から目的地を目指すと約2時間はかかり、到着するのは良くて夕方、下手をすれば日没後だ。でも、それでも僕は一人になりたかった。いつもならば諦めるけど今回はそうはいかない。最低限の装備で秘境を目指すのだ!
迫るタイムリミット
16号線は相変わらずの渋滞で、千葉県は房総半島の目的地付近に到着したのは夕闇が迫る17時ごろ。県道を外れ、秘境への目印となる某林道のトンネルをトコトコ進む。間に合うか!?
トンネルを過ぎてから数分。見覚えの無いダートに入ってしまった。どうやらトンネルを超えてすぐの分岐を間違えてしまったらしい。多少ガレてはいるものの、基本的にフラットな”いつもの房総の林道”は消え失せ、獣道を予感させる道になってしまった。スマホの電波はギリギリ1本、なんとか地図を確認すると、ぐるっと遠回りになるが、道なりに進めば本来通るべき林道に繋がっているようだった。タバコをふかしながらどうすべきか思案し・・・よし行こう!イケルイケルダイジョウブの精神だ!
丸太やこわ~い泥濘をなんとかやり過ごす。フロントアップも上手くなったもんだ。周囲は既に暗くなり始めている。
小屋
尾根の馬の背を慎重に進み、すり鉢状のマディゾーンを抜けるとちょっとした広場に出た。奥には草に覆われた小屋が見える。小屋自体は老朽化と植物の侵食が著しいものの、かろうじて人の出入りはあるようだった。
再びスマホで地図を確認するも電波は無し。一本道だったから迷わないし、今から来た道を戻るのは現実的ではないな~と思案していると、小屋の方から物音が。
小屋の戸に近づくと、今度は中から床が軋むような音が聞こえてきた。
都会人ならばオバケだなんだと慌てるのだろうが、僕は千葉県民かつハードコアフィッシャーマンだ。千葉県ではハクビシンやタヌキが家屋に住み着くなんて日常茶飯事だし、ディズニーランドの周辺では浦安市民が鹿や猪を狩っている。釣り場じゃ闇夜の藪こぎ当たり前、湾奥では釣人と暴走族が橋脚付近の占有権を巡って度々抗争を繰り広げている。何度も危険な目にあわされた野生動物や足元に潜む物理的な危険、暴走族の奇襲に比べれば、お化けや怪異なんて屁でもない。
ぐるっと小屋の外周を半周回ると裏口が目についた。あぁいや、目についたというよりも気配を感じたと言うべきか。そろそろと近づくとそこには
「これはマズイやつだ。」
気配と音に注意しながらバイクまで後退る。薄暗い中でも分かるほど赤かった。あれは確実に新しい。
素早くバイクに跨がり小屋の様子を伺いながらエンジンをかける。いつもは心地良いFMF Q4の破裂音が忌々しい。
なにか
日の落ちた山道を走る。いくら障害物をクリアしながら未舗装を走っているとはいえこちらはバイクだ、猪か熊でもなければ追い付かれることはない。冷静に、確実にバイクを操作してトンネルまで戻ったところで、排気音に混じって何かが藪を進む音がすることに気付いた。
とっさにトンネルの脇にヘッドライトを向けると、10mほど先に何かがいた。威嚇ついでにフラッシュをたくこと数回、何かは動かない。アクセルターンで一気に方向転換して県道まで退避し、周囲を警戒しながら山間部を貫く道路をとばした。ミラーは見たくなかった。
あれが何だったのかは分からないけど、良くないモノであることは確かだ。
いた
※4月1日ということで四月馬鹿ネタ。写真の詳細は下記の通り
<写真1枚目>金谷元名線の広場
<写真2枚目>鹿野山林道マザー牧場側のトンネル
<写真3枚目>実家の裏山(ウチの所有)
<写真4枚目>森ラジオステーション
<写真5枚目>燈籠坂大師の切通しトンネルの先の休憩小屋。ちなみに本当に赤いペンキがこぼれててびっくりする。
<画像6枚目>映画「ビジター 征服」のスクショ。アマゾンプライムで見るべし
<写真7枚目>本人