スロージギングのはずがベーリング海

昨日、2月20日はまったりスロージギングでホウボウを釣るはずだった。

はずだったんだ。

①出船前後

関東でスロージギングと言えば茨城県は波﨑の雄、征海丸だ。征海丸は利根川河口から数キロ内陸側、つまり利根川に船着き場がある。 魚種豊富な汽水域という事もあって、港内には多くの海鳥と水鳥がエサを求めて舞っており、明け方はシラス漁船が忙しく行き交い賑やかだ。

同港に停泊する遊漁船も数隻あり、いつもならば朝4時あたりから釣り人で賑わうのだけど、この日はどの遊漁船も出船停止。 それもそのはず、波予報は『5mのち4mの波』なんだもの・・・お客だって僕の他は年配のベテラン釣り師1名のみだ。

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 写真で見ると朝の爽やかな港に見えなくもないけど、波打ち際はザバザバだ。

もう一度言う、征海丸の停泊地点は利根川だ。 にも係らず、波打ち際がザバザバなんだ。確かにその日は大潮だった、でもそれだけじゃあそうはならない。

海がどうなっているかなんて、察しの悪い僕でも解る。

 

でも、関東のスロージギングを開拓したパイオニア精神あふれる征海丸は違う。

「帰りは遅くなるけどいい?凪になるから多分大丈夫だよ」

この時、このセリフにただ安堵するのではなく、その道を切り開いた偉大な人物の基準は常人のそれとは異なる事に気付くべきだった。

僕の感じる「荒れ」と、雨にも負けず、風にも負けず、凪の日も荒れの日も連日海に繰り出し、ゼロからポイントを開拓し、釣方を編み出して今の地位を作り上げた 船長の「荒れ」はレベルが違うのだ。当然だ、当たり前なんだ、あぁ!

 

かくして征海丸は犬吠埼沖を目指して航行開始したが、利根川の河口、銚子あたりで僕は自分の目を疑った。 銚子の沖堤防より高い波が次々と押し寄せ、それが堤防にぶつかって巨大な水柱ができているのだ。 横に目をやると、折り重なるように押し寄せるビルの2.5階くらいの高さの波、波!

頭を動かさず、目線を水平にして座っているのに何故か目の前に空が現れ、そうと思う間もなく今度は水面が目の前に現れる。 まるで、自分がベーリング海のカニ漁船で活躍する勇猛なクルーになったような錯覚すら覚える。

 

 北からの親潮利根川、南からの黒潮が複雑に交じり合うこの海域は波が高いし、うねりも出る。でもこれはいくらなんでもやりすぎだ。本当は写真と動画を撮りたかったけど、そんな余裕は無かった。

 

犬吠埼沖へ

船長は押し寄せる「山」のように大きな波とうねりを軽業師の如くヒラリひらりといなしながら船を進める。 船長の技量に惚れた、感動した。凄いぞ征海丸!

年配のベテラン電動ジグマンは「いやぁ、船長は男気があるなぁ。こんな波で出る人なんていないぞぅ。」と言っているが、まさにその通りで、僕たち以外に遊漁船や漁船の影は無い。当たり前だ、それが普通だ。

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↑いい天気、いい波に見えるでしょ?実際は真逆。右上の鳥は風が強くて中々前進できずホバリング状態。

 

糸を垂らすのは数回だけさ!

今回のメインタックルはオシアジガーにPE1.5号、ロッドはメタルウィッチだ。 ジグは100~150gをメインに、100gのタコベイト、タイカブラを状況に応じて使い分ける…はずだった。

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波が強すぎてまともにジグを操作できない。 濁りもゴッツリ。 風はビュービュー、船は波とうねりでどんぶらこ。 スロージギングの敵が見事に揃っている。もうだめだ。

 

それでも何度かヒットは有った。

何がヒットしたかって?マイワシのスレ掛りだよ!

潮はタルい感じだったけど、底荒れしているようでどうにもならない。

一先ずマイワシ1匹追加だ、チクショウ。写真を撮る気にもならなかった。

 

終始厳しい状況だったけど、テンションがブチ上がるイベントもあった。

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全釣り人が渇望するイベント「鳥山」。

しかもこの鳥山は一つじゃない、船の全方位に幾つもの巨大な鳥山が出来ているのだ。

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↑手前の盛り上がる波の頂点は僕の頭よりずっと上。波の山の向うに鳥山が隠れてしまった・・・

 

この乱立する鳥山の中でジグをしゃくると待望のヒット!

手の平サイズのマイワシもう一本追加…チクショウ

隣のベテラン電動ジグマンは子サバをかけた。そして捨てた。

友よ、アナタの気持ちは胃液を吐くほどによくわかる。

 

さっきのマイワシと一緒に海に投げると、船と併走していたカモメが美味そうに飲み込む。少し報われたような気がしたが、多分気のせいだ。

 

その後、幾つかポイントをめぐるも撃沈。そもそも釣りが出来る状態じゃない。

結局3時まで粘ったけど釣果は散々。船中マイワシ2本に子サバ1本とか、堤防でちょい投げすればどうにかなるレベル。

 

帰港後、船長に「明日か明後日は良さそうですよねぇ」なんて聞いてみたけど、船長曰く「これ、しばらくダメっぽいよ、良いのは来週じゃない?」だそう。

僕らを気の毒に思ったのか、半額券を1枚くれた!

海が悪いのも、釣れないのも船長のせいじゃないのに、何ともうれしい気遣い!

僕が女だったら迷わず求婚していただろう。

 

今回も釣果と波は散々だったけど、船長の超絶操船テクを体験できたのは良かった。

来週また来ようと誓い、予定を観ようと携帯とスマホを取り出すと職場と同僚、上司からの着信&メールの山、山、山!

 

何故、釣りに行くときに限ってトラブルが起きるのか。

何故、釣りに行ったときに限って至急かつデカい仕事が入るのか。

 

 

日曜日のジギングでは何も起きない事を祈るばかり。