21世紀はやってこない
未だに脳みそにこびり付き、事ある毎に再生されるフレーズがある。
「にじゅういっせいき~」
恐らく、所ジョージ氏がプレゼンターを務めた子供向け番組で流れていた歌だったと思う。僕の記憶が確かならば当時は幼稚園児だったはずだ、だからかれこれ20数年間もの間、延々と僕の記憶野に存在し続けている事になる。
歌の内容は、21世紀は車が浮いているよ!未来は凄いよ!という様な内容を、歌とアニメーションで紹介したもので「にじゅういっせいき~」というフレーズで閉めていた。
当時は21世紀なんてずっと先の事だと思っていたから、親に「お前が大きくなる頃には21世紀になっているぞ」なんて教えられた時は、それはもう興奮したものだ。
無数にそびえ立つビルの谷間を颯爽と駆け抜ける流線形のスポーツカー。当然、運転しているのは僕だ。助手席には黒髪ボブのクールな美女が佇んでおり、気怠そうに窓の外を眺めている。空を見上げれば、ビルを繋ぐ透明なチューブの中を電車の様な乗り物が行き来し、街に目を向ければ家族や恋人たちが手を繋ぎ、微笑みながら歩いている・・・そんな未来を妄想し、僕は21世紀を待った。
でも、待つだけだったから21世紀になっても、僕の21世紀は来なかった。
自分に不釣合いな黒髪美人とは付き合ったこともあったけど、その美人はボブカットでは無かったし、当時の愛車は赤い2シーターの電動オープンだったにもかかわらず4つのタイヤが付いていた。
最近、何となく現実が見え始めたけど、ももう少し待ってみた。
でもいい加減待ちくたびれ、腹もすいたので「パエリア」と「レンコン梅炒め」を作る事にした。僕は確実に疲れている。
まずはレンコンの皮を剥き、輪切りにして水にさらす。
穴の中の汚れは気にしなくていい。そんな事を気にしていたら脳がやられてしまう。
灰汁抜きをしている隙にササミを茹でる。
茹でてる間に梅干しの種を抜きをミンチにする。その際に、あれば紫蘇も刻んでおく。どちらかと言えば青紫蘇の方が色合いが合っていると思うが今回は品切れだ。
梅干しの種類は好みに応じてシソ梅干し、はちみつ梅干し、普通の梅干しを好みにお応じて使い分ける。当たり障りないのは断然はちみつ梅干しだ。
優しく、強く、怨念を込めてねっとりしっかり刻む。
そうこうしいるうちに灰汁が抜けるので、さっさと水をきってフライパンで炒める。
油はオリーブだろうがサラダだろうが、キャノーラだろうがなんでもいい。
だが胡麻油、お前はダメだ。
火力はもちろん中火。
蓮根にある程度火が通ったら純米酒を投入する。量は適当で良いけど、僕は半カップ程入れる。この際は一時的に強火にして、ある程度酒を飛ばす。
気を付けたいのは料理酒を使わない事だ。アレはダメだ、地球上から消え去るべきものだ、つまみ飲みが出来ないなんて悪夢でしかないし、何より風味が良くない。
※カップじゃなくてもいいんだよ?
程々に酒が飛んだら弱火or火を消し、蓋をして少し蒸す。蓋をとるタイミングは、酒が全体に馴染み、残った水気に若干の粘りが出るタイミングが良い。
そうこうしているうちにササミが茹で上がるので、さっさと取り出して包丁でほぐす。
ほぐしたササミと梅を蒸れた蓮根に投入して混ぜる。
潰した梅を包丁の腹ですくい取って入れると、ご覧の様にフライパンの上に犬の糞が乗っかっているようになってしまうから注意が必要だ。
改めて写真で見ると何ともまぁ・・・見れば見るほど犬の糞にしか見えない。
梅が全体に馴染んだら皿に移して出来上がり。
今回はササミを使ったが、薄く切ったウィンナーやチョリソーを入れても美味い。
主食を作る
パエリアは以前作って冷凍保存していた危険な香りのブイヤベースを使った。
そこに鳥モモ肉と玉ねぎ、野菜室の奥に放置されていた萎びたパプリカと、買ったはいいが使い道を見出せないまま消費期限が過ぎたシーフードミックスを投入。
しかしここでまさかのサフラン在庫切れが発覚。仕方ないからカレー作りで使っているターメリックで色付けをした。正直色が出ればなんでも良いだろう、気が向いたら青色の着色料でも入れてパエリアブルーハワイでも作ってみよう。
ホットプレートに全部ぶち込んで40分程度で出来上がり。
色付けがターメリックだからキレイな黄色が出ない。しかも混ぜた後だから見た目はマズそうだ。今後は見栄を張れる写真を撮るよう心掛けようと心に誓った。
フェイスブックをやっている人はこんな心境なんだろうか。
ついでにタンドリーチキンも作った。統一感なんて知ったことか。
今回の反省
味はまずまずだが作り過ぎた。
僕の身体は着々と「心筋梗塞」「糖尿病」への未来に向かって突き進んでいる。自動車からタイヤが無くなるのが先か、僕の足が無くなるのが先か・・・
確かなのは、料理を作りながら写真を撮り、夜中に下らないブログを書いているような男には明るい未来なんて来やしないってことだ。